青海苔の思い出
- 2012年02月12日
- ごじゃっぺ高座
小学校の3年と4年の2年間の音楽授業はメガネをかけた丸顔の若い女性の先生であった。ピアノが上手、そして何より歌が上手であった。いまでいうソプラノっていうのかしら。よく歌ってくれた。憧れたなあ。ある時ドイツ語の歌を歌いながら我々の机の間を歩いた。複雑な発音のときはそれなりの口をして歌った。私の机の前に来て歌った時、何かゾクゾクっとした感じを覚えている。
そこで複雑な発音だったせいか、口の形が変わった。そのとき、上顎の前歯に青海苔がくっ付いているのが見えた。歯医者のせがれだけあって無意識に目がいっちゃったのかな。とにかく人気があり、残念ながら寿退職をした。卒業式のときのお別れの会に、その先生は袴で出席して壇上に上がった。似会ってた。きれいだった。先生は壇上で泣いていた。私も泣きたいのをずっと堪えていた。
音楽の先生は歌が上手という図式が私の頭の中に出来上がった。ところが、小学校5年と6年の時の男の音楽の先生、そして中学時代3年間教わった男の音楽の先生、高校で選択科目で一年間だけ教わった男の先生。共通しているのは歌がヘタ、というより、あまり歌わず、たまに歌った時は目をシロクロさせていた。まあ、あまり人前で歌いたくなかったというのが本音か。音楽の先生だからといって皆さん歌が上手というわけではないという現実を知った。後年もう一つの現実も知った。英文科を出た人は全員英語がペラペラではないということ。
そうそう青海苔だ。その形を見ると思いだす。
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