ごじゃっぺ高座

　学生時代だったので３０年以上も前のこと。出場者募集のテロップに大学落研と書いてあったので、一言添えて申し込んだ。予選に呼ばれた。場所は赤坂ＴＢＳ。いっしょに行く相手がどうしても臨床実習で行かれないということで、急きょ同級生の野球部を連れて行った。ひょうきんなヤツだったので、こりゃ予選面接も楽勝と思ったら、本当は野球部で、友人の代わりにやってきましたと馬鹿正直に話し始め焦ったなあ。結果は後日連絡しますということでＴＢＳを後にした。

　次の日の夜、おめでとうございます。合格ですとの電話があった。まさかと思った。ちょうど、番組収録中のスタジオの脇にある電話からだったようだ。ハイ、本番！　ドア閉めて！バタン！ビンビン伝わってくる。この臨場感。さすがテレビ局。つきましては、何月何日に収録しますのでよろしくお願いしますとのこと。でもその日は平日で、休めない臨床実習がある。弱ったなあ。ちょっと考えさせて下さいと一度電話を切った。すぐ野球部の友人に電話。彼は実家から通学している。俺は絶対テレビになんぞ出ないぞと言っていた。そばで母親がせっかくだから出なさいと言っていたのが印象的。

　またテレビ局から電話。どうなりましたかと、、、。出場したいところですが、その日、大事な臨床実習があり、休めないのですよ、と言ったら、どなたか友人に代わってもらったら如何でしょうかと言われた。あれ、変なことを言うなあ。そのうちにダハハという笑い声。矢島、わかるか、、、俺だおれだ。同級生どものイタズラだった。もう放心状態で電話を切った。すぐまた電話があり、わきで本番と言ったのはアイツで、バタンは冷蔵庫のドアとのこと。

　その連中とは今でも連日メールの交換。いい歳をした歯医者たちだが、学生時代と全く変わっていない。もし俺おれ電話が拙宅へ来れば引っかかっちゃうかな。でも金がないから断るだろうなあ。さて、数年後、本当にテレビに出演したのですよ。これはいづれまた。