おっぱいと入れ歯
- 2012年05月16日
- ごじゃっぺ高座
地元公民館を利用しての市主催の健康診断に行った時のこと。受診者が多いのでもう流れ作業。心電図に呼ばれた。入ってびっくり。上半身スッポンポンで小池栄子を彷彿させるような見事なバストの女性と遭遇。私のほうもとっさに自分の胸に手を当てた。これじゃ変態だよ。健診センターの職員は、毎日慣れっこになっているせいか、受診者のプライバシー云々なんて考えなくなってしまっているようだ。そうそう、そのグラマーな女性だが、どう見ても80歳ぐらいだったなあ。挨拶をされてこちらが恐縮してしまった。
生業の最中、診療室で大きな声で「入れ歯が~、、、」と話していたら、小さい声で話してくれと言われた。待合室に聞こえるだって。そうか、この患者さんは自分が入れ歯ということを知られたくないんだ。健診の職員のことを言えない。猛省。
ある歯医者の書いたエッセイ本の中に「末期の入れ歯」がある。余命いくばくもないガン患者の女性で、もう口から食べることが出来ない。でも入れ歯はしっかり入れている。あるとき、胃の内容物を戻した。それを看護婦さんが始末した。ところが入れ歯がないと大騒ぎ。いっしょに出してしまい、それを知らずに看護婦さんが捨ててしまったようだ。病院側としても、今更入れ歯なんてと思ったが、声を振り絞り、どうしても入れ歯を入れたいとのこと。院長が知り合いの歯医者に泣きついた。でその歯医者が作り、しばらくして亡くなった。後で息子らしき方がその歯医者にお礼に来たそうだ。どうも若くして亡くなったご亭主に天国で会うとき、歯が全くない状態で会うのは忍びないと生前よく話していたそうだ。
似た話も当院であった。入院する患者さんで麻酔手術の時、入れ歯は外すのかということ。麻酔にもよるので、担当医に聞いてほしいと答えた。人前で入れ歯は外した姿を見せたくないと言っていた。その患者さんも末期がんで亡くなった。
ある同業者で歯科関係のインターネットを通じてエッセイを書いていた。有名人を診たというのが自慢で、その有名人は生前、総入れ歯だったと書いてあった。自分の作った入れ歯自慢も情けないが、守秘義務というのもあるだろう。
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